学科長挨拶

学科長 石川 正弘

私たちの多くは都市に暮らし、そこでは自然環境と我々が作り上げてきた社会環境の中で、両者から様々な恩恵を受けて生活しています。しかし、自然や社会の環境から様々な恩恵を受ける一方で、様々な問題やリスクにも直面します。様々な問題やリスクは我々の豊かな暮らしにとって避けたい、防ぎたい事柄ですが、それらは互いに密接に関連していて、すべてを完全に除去することは出来ません。たとえば、適量の降雨は恵みの雨となりますが、大雨は様々な方面に甚大な被害をもたらす場合があります。

環境リスク共生学科では、大きく分けて自然環境と社会環境に関わる諸問題やリスクに関する教育研究を行います。それぞれの分野の基礎研究を進める一方で、それぞれの環境から産み出されるリスクについて、その評価や予測技術を高めるとともに、ヒトが安心・安全に生活できる社会を構築するために必要な対処法や基盤技術に係わる研究を行っています。
その上で、豊かで安全な人間社会の実現において、どのようなリスクが潜在しているのかを明らかにしながら多様なリスクとどのように付き合って行くのかというマネジメント手法の開発を目指しています。その実現のためには理系・文系の垣根を越えた文理融合の視点と実践力が極めて重要です。

環境リスク共生学科は人間社会と自然環境を知り、適切に環境を利用、保護することで新しい利用価値を見い出せる”創造力”を身につけたいと考える者、ヒトから都市、自然生態系、地球までの環境システム全体を見通す”俯瞰力”を身につけたいと思う者、リスク共生社会を実現するための政策や管理手法を立案できる”展開力”を身につけたいと思う者を求めています。

本学科の特色

環境リスク共生学科-大都市・横浜を拠点として自然と社会の関係を学びリスクと共生する未来を切り拓く- 自然環境および社会環境のリスクに関わる基本原理を理解し、文理融合の総合的な知識により、豊かさと表裏一体で生じる多様なリスクのバランスをマネジメントするリスク共生社会実現の知を育みます。異分野との横断的な連携、社会と対話できる素養を持ちながら、自然環境、社会環境を対象にリスクとの共生を実践し、都市の持続的発展に貢献できる実践力を有する人材を育成します。

本学科が求める学生像(アドミッション・ポリシー)

  • 適切に環境を利用、保護することで新しい利用価値を見出せる“創造力”を身につけたい
  • ヒトから都市、自然生態系、地球までの環境システム全体を見通す“俯瞰力”を身につけたい
  • リスク共生社会を実現していくための政策や管理手法を立案できる“展開力”を身につけたい

このような学生を育てます(ディプロマ・ポリシー)

環境リスク共生学科では以下の4つの能力を兼ね備えた学生を育てます。
1) 地球・生態系および都市環境のリスクに関わる基本原理を理解する能力がある。
2) 文理融合の総合的な知識により,豊かさと表裏一体で生じるリスクとのバランスをマネジメントする「リスク共生」社会実現の知を育む能力がある。
3) 異分野との横断的な連携,社会と対話ができる素養を持ちながら,都市域での環境リスクや災害リスクについて理解する能力を身につけ,それらに適切に対処できる実践力がある。
4) 都市に恵みや災いをもたらす自然のシステムを理解し探求し,都市の持続的発展に貢献できる実践力がある。

沿革

環境リスク共生学科は2017年4月に都市科学部の開設とともにスタートしました。この都市科学部は横浜国立大学にとって50年ぶりとなる新学部です。
環境リスク共生学科の前身は2011年4月に開設された理工学部地球生態学教育プログラム(地球生態EP)です。地球生態EPでは主に「人間を含む生態系とそれを取り巻く地球の環境」を対象としていましたが、これに都市工学や社会科学、リスク共生学の専門家が加わることで、「ヒトから都市、自然生態系、地球までの環境システム全体」を研究・教育対象として拡張することになりました。
地球生態EPの起源(一部)は1973年に本学に設立された「環境科学研究センター」です。このセンターは国立大学ではじめて環境問題の解決を目的とした研究組織であり(その後2001年に大学院環境情報学府へ改組)、著名な生態学者である宮脇昭名誉教授や、環境リスク学の先駆者である中西準子名誉教授をはじめとして数々の著名な研究者が第一線で活躍してきました。
環境リスク共生学科は「豊かさと表裏一体で生じる多様なリスクのバランスをマネジメントするリスク共生社会」の実現に向け、本学の強みである「環境リスク学」に関する研究・教育を引き続き推進していきます。

 

本学科のパンフレットは以下からご覧いただけます。
環境リスク共生学科パンフレット2022
※このパンフレットは2022年時点の情報です。担当教員に一部変更があります。最新情報は都市科学部WEBサイトをご確認下さい。