プレスリリース
横浜国立大学大学院環境情報学府の卒業生のMirka Heikkinen(2022年度博士課程前期修了)、同大学院の佐々木雄大教授は、都市街路空間において見過ごされてきた自発植生(人によって植えられた植物ではなく、自発的に生育する植物)の多様性を評価した論文を発表しました。
都市街路空間は概して、舗装された路面が目立つため、街路の植え込みや街路樹の基部などの一部を除き、自発植生はあまり存在しないと認識されがちです。自発植生が仮に存在したとしても、人や車の移動に伴う種子散布や定着環境など、人為影響の受けやすさから、そのほとんどが外来植物である可能性が予想されます。この研究では、一見忘れられがちな都市の街路空間において、街路の植え込みや街路樹基部のような土壌に覆われた基質表面だけでなく、アスファルトの割れ目、舗装された歩道、街路と建造物敷地を隔てる壁面など人工的な基質表面にも着目し、自発植生の多様性がどのように分布するのかを調査しました。結果、街路空間のさまざまな生息環境を通して、外来種は必ずしも優占しないこと、生息環境に特有に分布する自発的な植物種が数多く存在することが明らかとなりました。以上の知見は、都市の街路空間もさまざまな自発植生を支えうること、街路空間において多様な生息環境を創成することによって、街路を行き交う人間の目に触れる自発植生の多様性を担保できる可能性を示唆しています。
本研究成果は、国際科学雑誌「Global Ecology and Conservation」に掲載されました(2023年9月5日付)。
Global Ecology and Conservation 掲載記事
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