プレスリリース
横浜国立大学の佐々木雄大教授は、鳥取大学の衣笠利彦准教授、モンゴル気象水文環境研究所のGantsetseg Batdelger博士、米国ニューメキシコ大学のScott Collins教授らとの国際共同研究で、気候変動に対する乾燥地の知られざる感受性の可視化に成功しました。モンゴル国全土に広く分布する48の草原サイトにおける40年間の植物生産量および気候データを解析した結果です。陸域において、広域的かつ長期的に野外で観測された時系列データは世界的に少なく、さらにそのような時系列データの複雑性ゆえに、気候変動に対する乾燥地の応答の理解には限界がありました。今回は、長期時系列データと非線形時系列解析手法を組み合わせることで、乾燥度の高いモンゴル南部地域では年間の降水量が増加しても生産量は必ずしも増加せず、またモンゴル全域を通して年間の乾燥度が改善されても生産量は必ずしも増加しない、といった感受性を発見しました。生産量は、降水量や乾燥度の変動性の増加に対して、より湿潤な北部地域で負に、より乾燥した地域で正に反応することもわかりました。成果は、気候変動に対する乾燥地の応答の正確な予測に貢献するとともに、乾燥地の牧畜業や農業を気候変動下でいかに持続的に行っていくかを検討する上で重要な科学的根拠となります。
本研究成果は、国際科学雑誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)」に掲載されました(2023年8月21日米国東部時間午後3時付)。
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS) 掲載記事
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