【プレスリリース】気候変動に対する乾燥地の知られざる感受性を解明

プレスリリース

横浜国立大学の佐々木雄大教授は、鳥取大学の衣笠利彦准教授、モンゴル気象水文環境研究所のGantsetseg Batdelger博士、米国ニューメキシコ大学のScott Collins教授らとの国際共同研究で、気候変動に対する乾燥地の知られざる感受性の可視化に成功しました。モンゴル国全土に広く分布する48の草原サイトにおける40年間の植物生産量および気候データを解析した結果です。陸域において、広域的かつ長期的に野外で観測された時系列データは世界的に少なく、さらにそのような時系列データの複雑性ゆえに、気候変動に対する乾燥地の応答の理解には限界がありました。今回は、長期時系列データと非線形時系列解析手法を組み合わせることで、乾燥度の高いモンゴル南部地域では年間の降水量が増加しても生産量は必ずしも増加せず、またモンゴル全域を通して年間の乾燥度が改善されても生産量は必ずしも増加しない、といった感受性を発見しました。生産量は、降水量や乾燥度の変動性の増加に対して、より湿潤な北部地域で負に、より乾燥した地域で正に反応することもわかりました。成果は、気候変動に対する乾燥地の応答の正確な予測に貢献するとともに、乾燥地の牧畜業や農業を気候変動下でいかに持続的に行っていくかを検討する上で重要な科学的根拠となります。
本研究成果は、国際科学雑誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)」に掲載されました(2023年8月21日米国東部時間午後3時付)。

Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS) 掲載記事

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2023年8月21日 | カテゴリー : お知らせ | 投稿者 : envrisk-kanri

環境情報研究院鏡味教授が、日本生態学会から生態学琵琶湖賞を受賞

受賞情報

生態学琵琶湖賞は、水環境に関連する生態学およびその周辺分野における50歳未満の優れた研究者に贈られる賞です。滋賀県によって1991年に創設され、第15回より日本生態学会が実施主体となり、このたび鏡味麻衣子教授が第22回受賞者になり、滋賀県庁にて、滋賀県の三日月知事より賞が授与され、受賞講演が行われました。 
 鏡味教授は、ツボカビという植物プランクトンに寄生菌類の重要性を琵琶湖の研究をきっかけに見出しました。ツボカビは、大量発生する植物プランクトンに寄生することで、物質の流れを変える役割を果たします。また、ツボカビはミジンコの餌となり、食物網を支えます。本講演では、ツボカビを介した物質の流れ「マイコループ(Mycoloop)」の命名経緯や琵琶湖での最新研究、海洋や雪氷圏、都市での研究展望について紹介しました。三日月知事との質疑応答があるなど、琵琶湖の研究成果への関心の高さが伺える会となりました。

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賞状と景品

2023年8月7日 | カテゴリー : お知らせ | 投稿者 : envrisk-kanri

【プレスリリース】発光トビムシの正体を解明!土に潜む、緑色に光る陸上最小の発光節足動物

プレスリリース

大平敦子博士(多摩六都科学館学芸員;当時横浜国立大学社会人大学院生)を中心とする横浜国立大学・多摩六都科学館・名古屋大学・中部大学の研究チームは300年以上謎だった発光トビムシの正体を世界で初めて突き止めました。また、トビムシの発光能を試験する方法を考案し、既知種の中から新たに3種が光ることを発見するという快挙を成し遂げました。加えて、トビムシが発光する様子の動画撮影に世界で初めて成功し、緑色に光るということを科学的に確かめました。これらの成果はニュージーランドの科学雑誌「ズータクサ」に8月7日に公開されました。

Zootaxa (ズータクサ) 掲載記事

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2023年8月7日 | カテゴリー : お知らせ | 投稿者 : envrisk-kanri