プレスリリース
横浜国立大学大学院環境情報研究院の岩知道優樹非常勤教員(助教)、同大学都市科学部卒業生の金子美乃里、同大学院の佐々木雄大教授は、衛星・航空写真を用いた海岸林の広域評価により、広葉樹とクロマツの混交海岸林はクロマツ単植海岸林よりも津波による被度減少割合が小さく、津波への脆弱性が低い可能性を示しました。
海岸林は、防風や防砂の機能だけでなく、津波エネルギーの減衰や漂流物の捕捉といった、津波被害を軽減させる機能が東日本大震災を契機に注目されています。多くの海岸林は、クロマツ単植林であるため、クロマツ林の密度や樹木の配置を工夫することで、津波被害を最小限に抑える方法に焦点が当てられてきました。本研究では、樹種の多様性に着目し、津波イベント前後の衛星・航空写真を用いて、東日本大震災における津波による海岸林の減少割合を基に被害状況を評価しました。その結果、広葉樹とクロマツの混交林がクロマツ単植林よりも津波に対する脆弱性が低いことが明らかになりました。さらに、混交林において、広葉樹種とクロマツの空間分布がより複雑な海岸林の方が単純な海岸林よりも、津波に対する脆弱性が低い可能性が示唆されました。以上の知見は、海岸林を混交林に移行することにより、津波による海岸林への被害が軽減される可能性を示唆しています。
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